T-Answers投稿のご紹介:高カルシウム血症について
看護の疑問・悩みを相談できる自社アプリ『T-Answers』に掲載されている、皆様からのご質問の一部を紹介します。
“高カルシウム血症で多尿になる機序がよくわかりません。
また高カルシウムと低カリウムが同時に起きている時、それは高カルシウムの多尿による影響と関係していると考えていいでしょうか?”
by. 看護師 kutusita 2021-8-21 20:46:45
《回答》
高カルシウム血症は,血清総カルシウム濃度が10.4mg/dL(2.60mmol/L)を超える,または血清イオン化カルシウムが5.2mg/dL(1.30mmol/L)を超える場合に診断されます。高カルシウム血症では、腎障害を惹起することがいわれています。 原因としては、カルシウムの組織への沈着、尿細管閉塞、動脈収縮、糸球体濾過値の低下、脱水などが複合的に合併し発症します。さらに、高カルシウム血症で臨床的に良く認められる多尿や脱水は、尿濃縮機構障害により起こるとされています。そのメカニズムは、ヘンレの上行脚でNaCLの再吸収が障害されること、および抗利尿ホルモン(ADH)の作用が集合管で抑制されることにより起こるとされています。
高カルシウム血症では、軽度、中等度、重度に分類され、重度の場合は血液透析が必要となる場合もあります。
一方、低カリウム血症の病因としては、①消化管からの喪失、②細胞内移動、③腎臓からのカリウム喪失、④薬物などがいわれています。したがって高カルシウム血症と低カリウム血症が同時に認められている場合、多尿が影響している可能性はあると考えられます。しかしそれぞれの電解質異常がそれぞれ別の疾患や病態で起こっている可能性もあるため、多尿だけでなく多面的にアセスメントするようにしてください